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携帯電話料金

ティールーム

 携帯電話の料金プランを聞いて、「最初からそのプランにして
おけば、○千円も得をしたのに!もったいないことをした!」と
いう経験はないでしょうか?

最近は各社とも値下げ競争をしてだいぶ分かりやすい料金プラン
になってきましたが、それでもオプションのサービスを付けるか
付けないかで迷ったり、いろいろな悩みどころがあります。
サービスを付け忘れることによって思わぬ金額を請求されたり
します。

 実は税金に関しても同じことが言えるのです。
個人の確定申告で、市販の本やホームページの指示などに従って申告している方は多いことと
思います。
今は便利な時代になりました。
ただ、言い方は悪いですが、税法は思わぬところに罠を用意していたりします。
税法の中にせっかく用意された 「特例の適用」 を忘れることによって、税金を何千円
(下手すれば何万円)も損をしてしまったりするのです。
損をした場合、大抵の場合、税務署は「あなたの申告書は特例を適用し忘れていますよ。
本当はもっと安い納税額で済みますよ」とは教えてくれません。
「知らぬが損」になってしまい、それでおしまいです。

 そして困ったことに、こうした税の特例については、マスコミはほとんど報道してくれません。
マスコミが報道するのは大体、増税とか、国民の負担が増えることについてのみです。
従って、納税者自身(あるいはそのアドバイザー)が自らその特例の存在に気付き、手続きを
しなければなりません。我々税理士はいち早く「こういった特例が適用できますよ」という
メッセージを納税者の方々に提供する必要があります。大切な使命だと思っております。

青色申告の甘い罠

 個人が事業を始める場合、やはり1円でも税金を安く済ませたいですから、青色申告者となって
青色申告の特典を受けようとします。
青色申告の特典は数多くありますが、最もポピュラーなものとしては青色申告特別控除が挙げ
られるでしょう。

これは、各年の不動産所得、事業所得等から最低10万円(又は65万円)控除することが
できます。
単純計算で、総所得金額500万円の人の場合、所得税が2万円(又は13万円)、住民税が
1万円(又は6万5千円)も安くなるわけです。
・・・ちょっと歯切れの悪い言い方ですよね。
「10万円又は65万円って、どっちなんじゃい!」って感じだと思います。
実は、この境目の解釈が厄介です。。。

青色申告をするためには帳簿組織の備付け、記録、保存が必要とされていて、つまりは通常の
確定申告書にしっかり計算した付表を添付しなさいよ、ということなのですが、65万円控除と
いうのは青色申告のさらに特例で、 要はより厳密な記帳が求められるのです。
で、このより厳密な記帳のことを 「正規の簿記の原則に従った記帳」 といいます。
これは複式簿記を指すものと考えてしまって構いません。中には、「簡易帳簿による記帳でも
諸々の帳簿を備付け、これに取引のすべてを整然と記録していれば正規の簿記の原則に従った
記帳といえる・・・」などと細かく書いていますが、現実的には複式簿記・・・つまり会計ソフト
による、よどみない入力ができていれば、65万円はOK!という話です。

 しかし、税務当局はこの65万円控除に関してはかなりうるさいと考えていた方が無難です。
現金主義(例えば、商品を売り上げた時点ではなく現金が入金された時点で「売上」とする考え方。
「売掛金」・「買掛金」などの勘定科目を一切使用しない)の場合は65万円控除は絶対に
認められませんから、複式簿記、というよりも発生主義(例えば、商品を売り上げた時点で
「売上」とし、同時に「売掛金」を生じさせる考え方)に注意して毎日の取引を記録していかな
くてはいけません。

 簿記の考え方に慣れない方にとっては、いちいち骨の折れる作業になるかと思います。
そこで我々税理士が、こういった複式簿記、発生主義の基本的な部分を青色申告者の方に伝え、
正しい申告書の作成をするお手伝いをさせて頂くわけです。

ああ、もう面倒臭いから10万円控除でいいよ、という納税者の方も出てくると思います。
ただ65万円との差の大きさは魅力ですよね・・・。

税理士試験

 今年も間もなく税理士試験の季節がやってきます。毎年8月の初めに行われるこの試験。
税理士の場合は全部で11科目あり、受験生はこの中から5科目を選択し、1科目ごとに開催される
試験を受け続けることになります。5科目合格すれば晴れて税理士になれるわけですが、合格する
までは紆余曲折。個人差がありますが、かなりの年数を要する場合もあります。

  税理士試験を受けるために通うことになる専門学校のパンフレットには、
「標準学習期間3〜5年」
などと書いてあります。確かに効率よく学習していけば、この年数で合格することも十分可能
だと思いますが、私の知る限り、「3〜5」と区切ってしまうのはさすがにどうかな、と・・・。
私個人も合格まで10年を要してしまいました。よく途中で挫折しなかったね、と言って下さる方が
多いのですが、実際この10年間、中だるみが無かったかと言うと嘘になると思います。
1年に1度しかない試験。仕事との両立だったとはいえ、もっと全精力を試験に注ぎこむべき
でした。

  ただ、10年間受け続けたことで、その落ちた科目一つ一つに十分な勉強時間を掛けることが
できました。その勉強が税法の理解につながり、現在の実務に役立てることができていると
思います。逆に、一発で合格してしまった科目は、それ自体は非常に成功したといえるけれど、
今振り返ってみると意外にその科目に対する理解に浅く、実務にあたっては再び厚い参考書を
手に一つ一つ調べていかないと、なかなか難題を解決していくことはできない、と感じています。

  それと、税理士試験はどの科目も確かにかなり専門的な内容を問うてきて難易度は高いの
ですが、合格最低ラインは建前上あくまでも60%。逆に言えば4割はミスしても通る試験です。
いざ解いているときはかなりしんどいですが、今改めて実務の現場に立ってみると、今度は
1箇所のミスをも許されない立場。その代わり、十分な時間を費やして考えることはできますが
ミスゼロで凌ぐというのは、プロとはいえ、試験とはまた全く別の緊張感を常に感じています。

― 2012 年 7 月執筆 ―


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